事例:
対象犬 6カ月 柴犬 雄 ペットショップ出身
当初問題行動 人の手や靴などに対しての甘噛み
この柴犬は6カ月までペットショップで過ごしていた。飼われてから直ぐにひどい甘噛み行動を見せるようになった。
犬を飼うことは初めての飼い主は、子犬の”甘噛み”というものを知っておらず「飼ったときから困惑していた」とのこと。
「あまりにも噛みついてくるため、このままでは心配だ」ということで相談を受けた。
この柴犬は、とにかく元気で明るく遊び好きな、いたって普通の子犬である。
しかしながら、生後6カ月までペットショップにいたため、他の犬との遊びをとしておこなわれる「かみつきの抑制」ができていない可能性があった。(本来かみつきの抑制を学ぶ期間は、生後3カ月までである)
また、この柴犬は噛みつき遊びしか知らない。そのため、飼い主に対しても同様に噛みついていることが考えられた。
そこで飼い主にたいして、わたしはアドバイスを3つさせていただいた。
① なるべく長い時間(1時間以上を2回)散歩に連れて行き、刺激と気持ちの良い疲労感を与える。
② 遊び方をかえる。
③ コング(中にフードを入れることが出来るゴム製のおもちゃ)や食べても大丈夫な木のおもちゃを家の中で頻繁に与える。
結果:
① なるべく長い時間(1時間以上を2回)散歩に連れて行き、刺激と気持ちの良い疲労感を与えることで、家の中で起こる、「遊びたい」という欲求を減らすことができた。
柴犬は家で寝ることが増えた。そして飼い主も平穏な時間を過ごすことが増えた。
② 初めて犬を飼うということで、犬との遊び方が単調になりすぎていた。また、おもちゃを使って遊んではいたものの、おもちゃが手のひらサイズほどしかなく、遊んでいる最中にも頻繁に噛まれていたという。
なので、おもちゃを長い紐のさきにくくりつけて、手と犬の口とが離れて遊べるように工夫することにした。それによって、お互いが安全に楽しく遊ぶことができるようになった。
結果、飼い主は充実したコミュニケーションをとれるようになり、犬は満足している様子であったとのこと。
③ コング(中にフードを入れることが出来るゴム製のおもちゃ)や食べても大丈夫な木のおもちゃを家の中で頻繁に与えて一人遊びも教える。これで犬の「噛みたい欲求」をある程度抑えることが可能になった。犬の暇つぶしにもなるため、飼い主にじゃれて噛みつく頻度も減った。
以上3つのことを約2ヶ月間行うことで、噛みつき行動はおおいに減少することになった。
手だけでなく、靴にたいしての噛みつきもなくなった。
改善できたのは飼い主の真面目さと努力にほかならない。
補足:
子犬は甘噛をして当然である。しかし、子犬がかみつきの抑制を学ぶのは生後2~4カ月までに兄弟犬や他の子犬とどれだけ遊んだかにかかっている。
ペットショップで売られている子犬の多くは、早期に母親、兄弟犬達から離されている。その後はショーケースで1匹だけで過ごしている。(*そういう意味もあり現在は2、3匹の子犬を一緒に入れている所もある)
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