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罰の使用をやめた経緯−その3

執筆者の写真: Kaneko YukiKaneko Yuki

こんにちは、悠さんです。


今回は、こちらの記事の続きになります。



前回までは、私がトレーナー学校で経験したことをつらつらと書かせていただきました。

長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございます。

今回で最後になります。




さて、トレーナー学校でスパイクカラーや電気首輪などの道具を使って犬の行動を変えていく術を学んだわけですが、それを実際にお客さまに伝えるには苦労と葛藤がありました。


罰を効果的に使えるようになるには多くの練習が必要です。

であるにもかかわらず、変えようとした行動がより激しくなったり、自傷行為・無気力になるなど、動物にとって悪影響を与える危険性があるのも事実でした。


そのようになってしまう犬達を、たくさんこの目で見てきました。



■独立するぞ!


ドッグトレーナー学校を卒業して、まずは細々と個人トレーナーを始めました。

もちろんお客さんは、月に2人くらいですのでアルバイトもして生計を立てていましたね。

むしろドッグトレーナーとしての仕事があれば良い方でした。


散歩中に他の犬を見ると吠えてしまう犬。

飼い主さんが側にいないと吠えてしまう犬。

咬傷事件を起こしてしまったしまった犬

散歩中、引っ張りって飼い主さんを転倒させてしまう犬

興奮すると自分自身を傷つけてしまう犬


実に多種多様な行動をする犬たちに出会ってきました。


そうやって、実際に愛犬に対して何かしらの問題を抱えている飼い主さんと接して

私は、なんとか今よりも良くなって欲しいと考えながら改善策をご提案していました。



ただ、正直なところ

トレーナー学校でならった罰的な方法はあまり上手くいきませんでした。


というのも

預かりトレーニングではないので、お客さまが実際にご自身の愛犬に対してトレーニングを行うのです。私がその犬をトレーニングするのとはわけが違いました。


ですから、罰的な方法をお伝えしても中途半端な刺激になることが多々あったのです。

そのため犬はだんだんと罰の刺激に慣れていったり、飼い主の存在がストレスに感じるような仕草も増えてしまいました。


もちろん毎回このようなことが起こるわけではなく、上手に愛犬の行動を変えられる飼い主さんもいらっしゃいました。ですが、今思うとそのような方は罰的な方法や報酬的な方法どちらでも上手に使えただろうなと思います。


食べ物・おもちゃ・飼い主の注目・触る・遊ぶなどの報酬ベースでのトレーニングであれば

多少間違えても犬にとっては問題ありません。一方で、大きな音を出す・臭い匂いを出す・物理的な痛みや苦しみ・無視などの罰ベースでのトレーニングでミスが多いと犬の精神を不安定にしたり、突発的な攻撃行動が起こるようにもなります。


要するに簡単いうと

【報酬ベースでは、犬の行動を変えるのに多少時間はかかるが、飼い主さんに高度な技術はあまり必要ではなく、ミスをしてもゆっくり修正することができ、変化した行動は長続きする。】


【罰ベースでは、犬の行動は即座に変わるが、飼い主さんに高度な技術と経験が必要であり、ミスをしたら犬の行動はより複雑化し、罰の刺激が無くなると行動は元に戻る。】


このような違いがあるわけです。



■ドッグトレーニングの考え方を見直す


以前の私は罰ベースの方法に頼って出張トレーナーとして仕事をしてきましたが、ご依頼の数をこなすほど次第に「これは一般の飼い主様には向いてないし危険だ」という考えに変わっていきました。


自分で自分の愛犬をトレーニングする際には自己責任で行えば良いので、どちらの方法でも好きにしたら良いとは思いますが、わざわざお金をいただいてまで罰ベースのトレーニング方法をお勧めするのは違うなということですね。


結局、トレーナー学校を卒業してから1年ほどは、犬に罰を与える道具を色々と使ってしまっていたので報酬ベースのトレーニングに切り替え後、もう一度勉強しなおしました。

行動分析学というのも、この辺で知ったのです。お恥ずかしい限りです。


大量に本を読み(読書はめっちゃ苦手でした)、ヴィベケリーセ先生、田中雅織先生、齋藤美紀先生などのセミナーに参加するなどして知識をアップグレードしていきました。


そうすると以前の「犬や飼い主を変えよう」という考えよりも「褒められる行動が頻繁に起こるような環境に変えよう」という考えにシフトしたのです。


実際にお客さまにご相談いただいた時、以前よりもかなり頭を使うようになりました。

しかし罰を使っていた時よりも犬の行動はスムーズに変わることが多く、飼い主さんも愛犬もストレスが少ない印象でした。


もちろん私もです。


罰を使って上手くいかないことがあると「違う罰を与えてみよう」とか「もう少し罰を強くしよう」というふうに考えがちでした。

ふと気がつくと自分がすごい意地悪な人間になっていたのです。


勉強をやりなおしてからは、心穏やかにトレーニングに取り組むことができるようになり、その態度は犬にも良い影響を及ぼしました。


私という人間の思考が変化したことは、犬からしたら一番身近な環境が変わったことになったのでしょうね。




■まとめ


さて、長くなってしまいましたがこれで「私が罰の使用をやめた経緯」の話は終わりになります。

ドッグトレーナーを目指し、ルーク君と出会い

学校に2年間通って様々な経験をさせていただきました。

(その節は大変お世話になりました)


なんとか資格をもらえて1人で仕事をできるようにはなりましたが、学校で学んだ方法では

実際にお客さまと向き合う際には悪影響の方が多きく大変苦労しました。

その当時のお客さまには「申し訳ありませんでした」と反省しております。


今では、考えを改めてトレーニング方法を変えましたが、当時のまま頑固になって罰ベースのトレーニングを続けていたらどうなっていたでしょうか。


あくまでこのお話は私の経験談になります。

私と同じように罰から報酬ベースに変えた人。逆に報酬ベースから罰ベースに変えた人もいることでしょう。


その人がどうして今そのトレーニング方法をするようになったのか?

そういうバックボーンも大事かなと思って書かせていただきました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

心より感謝申し上げます。





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