「それ、あなたを引っ張っているというより、その場から逃げたいだけかも?」
こんにちは、ドッグハウス〜悠〜ドッグビヘイビアリストのゆうさんです。
あなたの愛犬には散歩中の引っ張り癖がありますか?
散歩中の引っ張り問題は、お困り事のTOP3に入るぐらいよく相談を受けます。
「うちの犬、ぜいぜい言いながらずっと引っ張って歩きます。これでいいのでしょうか?」という感じです。
犬を散歩に連れ出してあげることは、外の匂いを嗅いで犬本来の欲求を満たせてあげたり、歩くことで肥満や筋力の衰え防ぎ、免疫力を高めるなどメリットがたくさんあります。
一方で「犬=散歩が好き」というのは人間側の思い込みです。
幼犬期から適切に飼育されていなければ、散歩を怖がる犬もいます。
犬が散歩中に飼い主をぐいぐい引っ張って歩くのには主に4つの理由があります。
①:興味がある臭いを察知したから、そこへ向かうため。
②:犬友とよく出会う公園などに早く行きたいため。
③:行きたくない方向を避けるため。
④:その場から早く離れるため。
①と②は犬が良いこと(他犬の臭いや遊びの機会)を獲得したいということですね。
③と④は嫌なことを避けためです。
あなたの愛犬がどれに当てはまっているのかは、きちんと観察する必要がありますが
もし以下のことが全て当てはまっているとしたら、あなたの愛犬は外の世界を怖がっている可能性があります。
ー子犬の時に、よく立ち止まっていませんでしたか?
ーあなたは過去に立ち止まっている犬を歩かせようとして、リードを強く引っ張って歩かせていませんでしか?
ーあなたの愛犬は外で排泄をあまりしないのではありませんか?
ー他犬や通行人に吠えたり、車やバイクに吠えたりはしませんか?
犬目線になってみると
子犬の頃は、外の聴き慣れない物音や物体に反応して「う〜んちょっと進むの怖いな・・」
と立ち止まります。
そりゃそうですよね。車とかバイクなんて自然界にはもともと存在しないものですし、犬は人間よりも耳がいいので、人間に聞こえる車のエンジン音と犬が聞いている音は違います。
人間には「ドドド」ぐらいでも犬には
「ドド!!ドド!!ドドド!!!!ドゥオーン!!!」
と爆音が聞こえてることでしょう。
それなのに飼い主からリードを引っ張って歩かされる犬の身になってください。
そして、飼い主の力に負けて
「あ〜もう歩くしかない!でも一刻も早くこの場から離れたい、そして安全なところに行きたい!」という風に、今度は愛犬が飼い主を引っ張っていくようになります。
【最初】聞き慣れない音がした(刺激)➡︎ 怖くなって立ち止まる ➡︎ 飼い主が引っ張る(嫌なこと) ➡︎ 歩く(嫌なことなくなる)
【学習結果】聞き慣れない音がした(刺激) ➡︎ 立ち止まると嫌なことが起こるからその場から離れることを選択(反応) ➡︎ 嫌なことも起きず聞き慣れない音からも距離を取れる(結果)
これが繰り返されると、上記のように犬は立ち止まると嫌なことが起こると学習するようになってきます。すると、だんだんと飼い主を引っ張って自分の行きたい方に行くことを優先するようになります。
結果的に、歩くようにはなったが引っ張り問題となってしまったわけです。
このような流れで引っ張り癖となり困ってしまった飼い主さんが、それを直そうとして
リードショックをかけたりしたら、もう最悪です。
犬からしたら「ちょっと怖い音したから立ち止まってただけなのに、無理やり歩かせといて、今度はよくわからんけど僕の首に痛いことする!あ〜イラつく!!」となっているかもしれません。
要するに引っ張り癖の根本にあるのは、外の音や視覚などの刺激に対する恐怖です。
子犬は、生後4ヶ月齢までに外の世界に連れ出し
そこで起こる刺激と良いこと(主に食べ物)を関連付けておく必要があります。
いわゆる『社会化』と呼ばれるものですね。
なぜこの時期までかというと、警戒心よりも好奇心の方が旺盛だからです。
つまり、初めて見る物に対して匂いを嗅いだり噛んだりしやすいから。
その結果「な〜んだ、危険なものじゃないんだ」と学習できるからです。
車の音、サングラスやマスクをかけた通行人、理髪店のグルグル回るやつとかね。
そもそもの原因は、長い間ペットショップの中にいたり、3回目のワクチンが終わらないと外に出してはいけないという思い込みによって外に出すのが遅れ、好奇心よりも警戒心や恐怖心が高まってきている時期に、聞き慣れない音に晒しすぎるからです。
動物の脳は、恐怖を感じると一時的に体の動きを止めるように指示します。
車やバイクの音、通行人、他犬を見た後などに子犬が立ち止まるのは
それらが自分にとって脅威ではないということをまだ学習していないからだったのです。
もし子犬を飼っていて、外に出るとよく立ち止まる。
そういう状態であるならば無理に引っ張って歩かせる必要はありません。
立ち止まった後は、しばらく様子を見てあげましょう。
一歩でも歩き出したら「そうそう」と言って、ほんのちょっと食べ物でもあげてみてください。
道路の真ん中で立ち止まってしまうこともあるでしょう。そういう時はリードを引っ張って移動させるのではなく、少し体を持ち上げて移動させましょう。
引っ張れば引っ張るほど犬は逆の方向に重心をかけ、より動かなくなってしまうからです。
まとめ
散歩中に犬が飼い主を引っ張る理由は個々に違う。
子犬の時によく立ち止まるのは外の刺激が怖いから。
それを無理に引っ張って歩かせると歩くようにはなるが、今度は逆に引っ張るようにもなる。
そうならないためにも、4ヶ月齢までに外の刺激と良いことを関連付けてあげよう。
子犬が外で立ち止まったら動くまで待ってあげよう。そして勇気を出して動いたら、良いことが起こるようにしよう。
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