ご飯をあげるときに激しく興奮する、キャンキャンと鳴く。そして、ご飯をあげるとガガガっと3、4秒ほどでいっきに食べ切ってしまう。
このようなパピーには、潜在的な危険が潜んでいます。
つまり、成長すると「資源を守るようになる」ということです。
資源とは、食べ物や玩具はもちろんのこと、場所や他者からの関心なども含まれます。
大前提として、生き物である以上、自分の資源を守ることは”当たり前”で、脈々と受け継がれた生存戦略の一つです。
ですが、資源に対してもいわゆる執着というものは個体によって程度の差があります。
それは、生まれた時の環境や経験が大きく影響しているからです。
例えば、子犬の販売をする際に、子犬の成長を遅らせるため(小さい方が売れるので)に食事の量を減らす業者がいます。
食料の少ない環境下で育つと、そうでない個体に比べて食べ物に対しての執着が強くなる傾向があります。
そして、守るための行動は
物なら咥えて逃げる、隠す。それができない状況ならその場でフリーズしてから唸る、近づく相手を噛んで撃退する。このような一連の行動になります。
これは↓玩具や食器などを守るイヌによく見られる学習の流れです。
(*強化とは、その行動の頻度が増えることです)
■イヌが資源を守ろうとして唸る ➡︎ 飼い主離れる ➡︎ 資源を守れた(唸ることが強化される)
■イヌが資源を守ろうとして唸る ➡︎ それでも飼い主が近づく ➡︎ 噛んだら追い払えた ➡︎ 資源を守れた (噛むことと唸ることが強化される)
■イヌが資源を守ろうとして唸る ➡︎ 飼い主がそれを叱る ➡︎ 資源を守れなかった(飼い主の叱るが強化される)
■唸ることでは資源を守れないため噛む ➡︎ 飼い主が痛がって離れる ➡︎ 資源を守れた(噛むことが強化される)
『空の食器を下げようとしたら、急に噛んでくるようになりました』
飼い主さんからこのような相談を受けることがありますが、得手してこの流れになっていることが多いです。
イヌは逃げたり、唸ったりするよりも「噛みつく方が手っ取り早く資源を守れる」ということを学習したのでしょう。
こうなると、エサの食器意外ー例えば玩具やソファの上ーでも同様の行動が起こるようになりやすく、飼い主は毎日噛まれないかとヒヤヒヤします。
もちろんすぐに修正できる行動でもないので長いお付き合いが始まります。
しかしながら、このような行動は予防できます。
たとえばフードを与えるときは
一回の食事を複数回に分け、1回目のフードを食べ切ったら、残りを追加してあげる。「飼い主が空の食器に近づいたら、食器がなくなるのではなく、食べ物がもらえる」と学習してもらうためです。
もしくは、フードボウルを持った状態で食べさせて、その中にパラパラとフードを追加してあげるなどもあります。
犬用ガムを骨をあげるなら、食べ切るか犬が飽きてそれらから離れるまでそっとしておく。
他には
イヌに「ハナセ」などの指示で、咥えてるものを離す行動を教えておく。
イヌに「ハウス」などの指示で、今いる場所から離れる行動を教えておく。
多頭飼いなら、他の犬が食べている最中に近づけないように配慮する。食器を並べて食べさせない。(それぞれサークルや別の部屋で食べさせると良いでしょう)
などの方法がありますが、これはあくまで予防のためです。
すでに唸るなどの行動が見られる場合は、専門家に相談した方が良いでしょう。
もちろん、他者の行動を完全に制御することは難しく、どれだけ予防しても防げないことはあります。毎日歯磨きしてても虫歯になることはありますからね。
ですが、自分の愛犬が将来的に「ものを守る傾向が強くなりそうだ」ということを知っておければ、それを悪化させないもしくは起こさせない接し方をすることができます。
その行動が起こらなければ、そもそも強化も受けません。
もし、子犬を飼い始めてから
食べ物を見ると興奮してキャンキャン鳴くとか吸い込むように急いで食べてしまうような行動が見られたら、一度専門家に相談してみましょう。最初が肝心ですからね。
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