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執筆者の写真uotani aki

【犬育て】社会化に失敗って?



こんにちは、ドッグハウス〜悠〜ドッグビヘイビアリストのゆうさんです。


最近では動画投稿サイトやSNSなどで、犬のことについて勉強されている飼い主さんが増えてきました。愛犬に何か困った行動があったり、関係をもっとよくしたいと思ってネットで調べるという流れだと思います。


わたしも、他の専門家の方の意見や犬に対しての考え方など参考になる部分も多く、飼い主さんと同じように勉強している身です。


一方で勉強されている飼い主さんほど

「うちの子、社会化に失敗しちゃって・・・」ということをおっしゃいます。


勉強する中で子犬期の社会化の重要性に気づいたけど、自分の犬はすでに1歳過ぎている。

だから失敗してしまったということでしょう。



しかし、このように後悔されている方に私は言いたい。


「社会化の失敗ってなんですか?何をもって成功と言えますか?」



ちなみに、子犬の社会化というものを簡単に説明すると

「生後4ヶ月齢までに平気なものを増やし苦手なものを減らす」ことです。


未熟な状態で生まれる晩成性の犬の場合、発達のステージが大きく4段階に分けられます。

【動物行動学:森 裕司 武内ゆかり 南 佳子著】を参考にさせていただくと以下になります。


①新生子期neonatal period(生後約2週間)ー 母親に全てを依存しないと生きられない時期。


②移行期transition period(生後約2〜3週間)ー 目が開いて音にも反応でき自力で排泄もできるようになる時期。


③社会化期socialization period (生後3〜12週)ー感受期sensitive periodとも呼ばれる。犬種や個体差があるので厳密に社会化期の期間を定義することは難しいとされている。子犬に多くの行動が出るようになる。噛む・動くものを追いかける・遊ぶ・吠えるなど。また人間や猫など異種の動物に対しても愛着関係を作る。場所に対しても愛着が形成されることもある時期。好奇心旺盛な時期で初めての場所でも恐怖心や警戒心を抱きにくい。見知らぬ対象に近づいて接触しようとする。12週齢を過ぎたあたりから、見知らぬもの馴染みのない環境に対して好奇心よりも恐怖心が増してくる。


④若年期juvenile period(離乳から性成熟に至るまでの期間。生後約6ヶ月〜12ヶ月)ー後戻り現象がある。社会化期に他犬や他人と接触していてそれに対して恐怖心がなかったとしても、その後他犬や他人との良好な触れ合い機会がないと恐怖心を抱くようになる時期。


以上が子犬が生まれてから約12ヶ月齢になるまでに起こる、成長ステージの変化です。



そして飼い主さんが失敗したと考えているのは、③の時期というわけです。

「この時期に家の中だけで生活させていたから、外の刺激に対して恐怖を抱くようになり

散歩中に他犬や他人に吠えるようになってしまった」と考えてしまうわけですね。


たしかに、それはあながち間違ってはいないかもしれません。


しかし、日本のペット産業を考えると社会化を完璧にするなど到底不可能だと思います。


というのも、やはりペットショップで子犬を買う方が大多数だからです。

ペットショップで売られている子犬は、すでに生後8週齢を超えています。

(*生後8週齢以下で子犬を販売することは法律で禁止されています)


この時期は、③社会化期になるのでとても重要です。

そして12週齢を迎えるまでわずか1ヶ月しか残されていません。

その上、ペットショップで子犬を買うと店員から「2週間は家から出さないでください」と言われることもあるようです。

さらには、その後ワクチンを打ちに行った動物病院の獣医から「3回目のワクチンが終わるまでは外に出さないでください」とも言われることがあるようです。

3回目のワクチンが終わる頃には、③社会化期は終わりを迎えて、好奇心よりも恐怖心の方が勝ってくる時期です。


初めて犬を飼う方は、当然言われたことを信じてしまうでしょう。


そして、全てが終わってから「待ちに待ったお散歩!行くぞー!」という流れになるのが日本の現状です。発育過程には個体差がありますので、たまたま運よく好奇心旺盛な子犬であれば、問題なく成長することもあります。


しかしながら室内でしか生活してこなかった子犬は、ほぼ外の世界を怖がります。犬同士の挨拶の仕方を学ぶ機会もなかったので、外で出会う他犬の出すシグナルがわからず、ますます恐怖心を抱くことでしょう。


このように、子犬を入手する場所がそもそも適切でない上に、社会化の重要性を理解していない(もしくはクレームを恐れて外に出させないように指導されている)販売側そして獣医師などにも原因があります。


また、ペットショップに来るまでの間、その子犬は適切に飼育されていたか?という問題もあります。


あなたが繁殖した犬は別ですが、大抵の飼い主さんは、ペットショップで売られている子犬の親犬の性格や飼育環境を把握することは困難です。

③社会化期も重要なのですが、それ以前に母犬にきちんと世話をしてもらっていなかったり、ストレスの多い環境で飼育されていた子犬は怖がりになりやすいという傾向があります。


要するに、ペットショップで犬を買うことは、くじ引きのようなものです。

「子犬の社会化に失敗した」のではなく「犬の入手先を失敗した」ということになります。


「じゃあブリーダーから入手したらいいのか?」というと、必ずしもY E Sとは言えません。

ブリーダーにおいてもピンキリがあります。



日々犬のことを勉強されている飼い主さんに言いたいことは

「社会化に失敗したと思わなくて大丈夫です」いうこと。


そもそも、あなたの手元に愛犬が来る前に、怖がりかどうかはある程度決まってしまっています。そして怖がりな個体に当たってしまうと、社会化の難易度は上がります。

たとえ勉強している人であっても、苦労することは間違いありません。


残念ながらペットショップという販売形態がある以上、社会化が不足してしまっている犬がいるのは当然です。


また、子犬の時に社会化を頑張って立派な成犬に育ったとしても、不意に他犬に襲われるなどして他の犬が苦手になることもあるでしょう。


なので、社会化に失敗も成功もないと思います。


もし愛犬に苦手なことがあったとしても

それはいくつになっても克服できます。


「あ〜失敗したなぁ〜」と嘆く前に、これからどうするか?を考えて愛犬と向き合っていきましょう!


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