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5つの自由が満たされてないことが原因



■アニマルウェルフェア(動物福祉)で重要な「5つの自由」


アニマルウェルフェアを知るうえで、重要な言葉に「5つの自由」というものがあるのをご存知でしょうか?

1960年代の英国で、家畜の劣悪な飼育管理を改善させ、家畜の福祉を確保させるために、その基本としてこの「5つの自由」が定められました。


今では家畜だけでなく、実験動物や家庭で飼育されているペット達にも、動物の福祉の基本とされています。


「5つの自由」とは ・飢えや渇きからの自由 ・不快からの自由 ・痛み、傷害・病気からの自由 ・恐怖や抑圧からの自由 ・正常な行動を表現する自由



簡単に説明すると


1、飢えと渇きからの自由

  • その動物にとって適切かつ栄養的に十分な食物が与えられていますか?

  • いつでもきれいな水が飲めるようになっていますか?

2、不快からの自由

  • その動物にとって適切な環境下で飼育されていますか?

  • その環境は清潔に維持されていますか?

  • その環境に風雪雨や炎天を避けられる快適な休息場所がありますか?

3.痛み・傷害・病気からの自由

  • 病気にならないように普段から健康管理・予防はしていますか?

  • 痛み、外傷あるいは疾病の兆候を示していませんか? そうであれば、その状態が、診療され、治療されていますか?

4.恐怖や抑圧からの自由

  • 動物は恐怖や精神的苦痛(不安)や多大なストレスがかかっている兆候を示していませんか? そうであれば、原因を確認し、的確な対応が取れていますか?

5.正常な行動を表現する自由

  • 動物が正常な行動を表現するための十分な空間・適切な環境が与えられていますか?

  • 動物がその習性に応じて群れあるいは単独で飼育されていますか? また、離すことが必要である場合には、そのように飼育されていますか?


このようになります。





■問題行動が起こるきっかけは「5つの自由」の不足




そして、

犬の問題行動と呼ばれるのものは、おおよそ「5つの自由」のうちどれかが不足しているために起こっています。



例えば、

  • 拾い食いは、飢えが動機となっているかもしれません。

  • ブラッシングを嫌がるのは、毛玉が引っ張られて痛いからかもしれません。

  • ケージに入れると吠えるのは、十分な空間が確保されていないからかもしれません。

  • 抱こうとすると怒るのは、体が痛いからかもしれません。



これらの要因によって、犬は「攻撃・吠え・逃走」などの行動を起こします。



行動の結果が犬にとってプラスとなれば、繰り返し行われるようになるでしょう。

それが飼い主視点で、いわゆる「問題行動」とされます。



そして、問題行動を抱えている飼い主さんの多くは「犬を変えたい」と考えがちです。


しかし、この考え方はあまり良くありません。



そもそも、犬は自分の周りの環境を変えたくて行動しているのです。

犬は不快やストレスを減らすために行動しているともいえます。


そもそも問題行動は、正常行動です。



なので、愛犬の行動が問題だと感じるならば

まず、犬の周りの環境が適切であるかを見直す必要があります。



散歩の拾い食いがひどいなら、散歩に行く前に少し食べ物をあげてからいく。

ケージがダメなら、広いサークルを用意してみる。

抱こうとすると怒るなら、一度検査をしてみる。



そうやって「問題行動のきっかけを無くしてあげられないか?」を考えるべきなのです。


トレーニングで愛犬の行動を変えるのは、そのあとです。



基本的に飼育下あるいは人間によって制限された環境にいる動物たちは、本来の行動をかなり制限されており、自分で自分の要求を満たすことができません。


お腹が空いても自由に食べられない。

外に行きたくてもいけない。

他の個体とコミュニケーションと取りたくてもできない。

匂いを嗅げない。


犬達はそういう環境で暮らしています。


そして、飼い主さんの多くがそのことを忘れてしまっていると思います。



わたしはドッグトレーナー・ビヘイビアリストとして、

犬の行動を変える仕事をしています。


しかし、もっとも大事にすべきことはトレーニング方法ではなくて、環境づくりだと思っているのです


「5つの自由」を守りながら健康でできるだけ快適に生活できるように、少しでも工夫して

あげることが大切ではないでしょうか。




参考:動物への配慮の科学ーアニマルウェルフェアをめざしてー

編著:Michael C. Appleby & Barry O. Hughes

出版社:チクサン出版社


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